OECDでは1995年末から、国際的な暗号管理の方法について、暗号政策の専門家を集めて話し合いを始めた。中心的存在が米国で、「暗号鍵供託システム」(KES)の導入を主張している。「暗号鍵供託システム」とは、使用する暗号を供託センターが管理するもので、国家機関の要求に応じて鍵を開示することができる。国家機関は開示された鍵を用いて犯罪などの通信傍受に用いる。我が国では、電気通信事業法に通信の秘密が掲げられ、国家による通信傍受(盗聴)も合法化されていないが、欧米では暗号の使用に何らかの制限があり、電子商取引の普及や輸入製品に暗号が使用されるようになれば、いつまでも国際的な流れには逆らえない。しかし、開示された暗号を用いれば通信内容は筒抜けとなる。犯罪組織の悪用やバーチャルカンパニーの脱税など、限定された利用方法の研究が求められている。